7月4日から6日までの宮城県被災地視察では、陸上自衛隊東北方面総監部、東松島市役所、東松島市・石巻市の被災地、そして、熊本県警の警察官が派遣されている宮城県警河北警察署をそれぞれ訪問及び視察した。
陸上自衛隊東北方面総監部では、お忙しい中にも拘わらず君塚栄治総監と久納雄二第六師団長に時間を作って頂き、地震発生時から現在までの自衛隊の活動状況等についてのお話をして頂いた。また、映像を見ながらの活動状況の説明では、被害の凄まじさと自衛隊員の活動の過酷さを改めて実感した。
被災地では、現在でも多くの自衛官が活動を行っている。その過酷さから、自衛官に対する様々なケアも必要となる。しかし、予想外でのケアも必要となったとの事。それは、被災地での同僚自衛官の活動を見聞きするに付け、「被災された方々に自分自身は何も手助けが出来ていないのでは?」と思い悩む被災地外での任務に就く自衛官も少なくなく、そうした方々に対するケアがそうだったとの事。また、実際に救援活動にあたった自衛官にも、「あの時こうしていれば、もっと多くの方々を救えたのでは?」と自責の念に駆られる方もいらっしゃるとの事。自衛官の使命感の強さを実感した。こうした話を聞いた後、若い自衛官の方に「大変でしょう?」と声を掛けたところ、「被災者の方々に比べると大変ではありません。」と一言だけ。正に、使命感の強さを象徴する一言だった。
東松島市役所では、安部秀保市長とお話をさせて頂いた。現在、東松島市役所には、熊本県の職員3名、熊本県内の市町村職員17名が派遣され、生活再建支援金申請受付等の業務を行っている。その中には、一生懸命に業務に励む長洲町役場の上村義教君の姿もあった。冒頭、こうした熊本県の支援に対し、阿部市長から感謝の言葉を頂いた。東松島市は、1,040名もの方々がお亡くなりになり、今なお122名の方々が行方不明という、津波によって甚大な被害を受けた地域。家屋被害も流出、全壊、大規模半壊、半壊世帯の全てを合わせると、全世帯の約6割にあたる9,132棟にも及んでいる。このように被害が大きかった東松島市では、非常に無念な事だが、2年以内の火葬を前提に、ご遺体の多くが仮埋葬されている。ご遺族の方々の心情を思うと察するに余り有る。阿部市長も心の痛む、苦渋の決断であったと思う。
それにしても、阿部市長、それに、君塚総監も久納師団長もそれぞれに強いリーダーシップとぶれない意志をお持ちの方であった。この事こそが、危機管理の際にリーダーに求められる最も重要な資質だと思う。
何れにしても、今回の視察で実感した事は、被災地の被害状況は報道で見聞きする以上に凄惨な状況であったという事。また、復興の途は緒に就いたばかりと言うよりもまだまだ復旧の段階であるという事。一日も早い復興に向けて、総力を挙げて取り組まなければならない。
最後に、改めて、東日本大震災によりお亡くなりなった方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された方々へ心からお見舞いを申し上げます。